『むち打ち』に代表される、交通事故に伴う症状
前方、後方、側方とあらゆる方向から衝突が起き、『慣性の法則』に従い、
むちがしなるような首の動きをした際に、周辺筋肉や靭帯などを痛めてしまう症状です。
障害が軟部組織に留まらず、神経や脊髄に及んだりすることで、
頭痛、吐き気、めまいなどの不定愁訴が伴って、難治になるという場合もあります。
首に限らず、普段では受けることがないくらいの衝撃を受けることで、起こる症状は、
その”ぶつかった部分”や”直接的に影響を受ける部分”に限ったことではありません。
この水の波形と同じように、衝撃のエネルギーというのは、波形を作って、広範囲に及ぶ可能性もあるのです。
例外を除けば、エネルギーは直線的に進むので、事故や転倒やその他、大きな衝撃を受けた際には、その直接的な部分だけでなく、
衝撃を受けた部分から直線的に、身体の対側の辺りに、硬さなどが起きていないかなども調べておくと、
その後に併発する症状を抑えることになります。
むち打ちの発生/赤ちゃんはむち打ちになる?
可能性は0(ゼロ)ではないでしょうが、赤ちゃんのむち打ちってあまり聞きません。
あとは、あまり良いニュースではないですが、幼い子供が高いところから転落して、怪我ひとつなかったというニュースも見たことがありますし、
最近ですと、乗用車の下敷きになった、4,5歳くらいの子供も、命に別状なく軽い怪我で済んだというニュースもありました。
大人が同じような状況に遭遇したら・・・・同じ結果にはまずならないでしょう。
その差は、どこにあるのでしょうか?
力がうまく抜けているかどうか
筋肉は、姿勢を維持する『抗重力筋』と、動作の際に用いられる、『主動作筋』に分けられます。
そして、骨と骨をつなぎ、関節としての機能面でとても重要な役割をする『靭帯』
この『抗重力筋』と『靭帯』は、自分自身の意思で、硬くしたり緩めたりすることは、不可能ではありませんが、日常生活ではほとんど行われていません。
立つ、座る、動作開始や動作の終了時に、これらの靭帯や抗重力筋というのは、とても重要な役割を果たしています。
こと、背骨や骨盤に関連する、靭帯や、抗重力筋は、座っていたり立っているときには緩むことはまず考えにくいです。
もし緩んでしまったら、姿勢を保てませんし、6kg程ある頭が落ちてしまいます。
ただし、緩む時があるんです。
それは、突然の衝撃や、予期せぬ衝撃が加わったときです。
先ほどもお伝えしたように、体は、頭を支え、内臓を保護するために、ある程度の強度を保っています。
強い衝撃や予期せぬ衝撃が加わったときには、その『強度』が逆に組織を痛めてしまうことがあります。
耐震構造とか免震構造とかと似た原理ですよね。固い建造物よりも、ある程度柔軟性があったほうが、衝撃に対しては有効です。
本能的に強い衝撃などの危険に遭遇した際には、体を緩めてその衝撃に備えているんですね。
身を委ねられれば・・・
赤ちゃんや、幼い子供は、経験としてその危険に遭遇したことがないので、
その本能的な身体の緩みに身を委ねられた結果だと思います。
一度でも、経験があったり、その情報が頭にあったりすると、本能的には緩んだ体を、意識的に緊張させてしまう。
この本能的な弛緩と意識的な緊張の差が大きければ大きいほど、症状が強く出てしまうのではないかと思います。
(かといって、平然とそんな状況の中で身を委ねられるものでもないと思いますが・・・)
治療・施術していく上での注意点
交通事故後や強い衝撃、転倒後の身体の状態は、
『本能的な弛緩』 と 『意識的な緊張』 が折り合わさっている状態。
どちらかといえば、意識的な緊張 のほうが表にあり、本能的な弛緩は奥(裏)にあります。
この時に、表面にある、意識的に緊張させている筋肉やそれにともなう歪みを、緩めたり、正したりすると、
すこし症状がこじれるケースがあります。
大切なのは、本来、姿勢を支えるために一定の緊張状態を保っている部分(多くは背骨や骨盤周辺)が、
一時的な危機回避の為に、弛緩してしまっている状態を、まず元に戻すことです。
そのうえで、歪みであったり、硬さを整えていくことを順序立てて行っていく事が、交通事故後の治療を行う上で大切であると考えます。
ともかく、どんな治療を行うかよりも、初期検査が非常に重要です。
交通事故や突然の怪我などは遭わないことが一番ですが、
もし万が一なってしまったら、、適切な検査、施術を受けましょう~